お酒の出来るまで
お酒のできる仕組み
お酒は、日本人の主食である米から造られます。子供から大人まで毎日食べるお米から造られます。それが、大人しか飲めないお酒になるのです。ちょっと不思議な気がしますが、そうなんです。
米の成分の大半がデンプンです。これが、麹に含まれる酵素の作用により、デンプンの最少単位のブドウ糖にまで分解されます。次にこのブドウ糖は、酵母と言う微生物によりアルコール発酵を致します。
おおまかに言うと、この2つの変化を利用してお酒を造らせて頂いています。
米のデンプンがブドウ糖をへてアルコールが出来るのです。
麹について
麹はいわゆる、カビです!私たちは、麹を造るというのは、カビを生育することなのです。麹は米から生命活動に必要な栄養分を取るのですが、人間の様に口が有るわけではないので、酵素を分泌そして、米を溶かし吸収し生命活動を行います。
この、米を溶かす酵素を利用したいが為に、私たちは麹を造るのです。
酵母について
大きさが4〜6ミクロンの単細胞生物です。彼らがブドウ糖を摂取し生命活動を行った結果として、アルコールが造り出されます。別に仕事として、アルコールを製造しているのではありません。生活した結果の物なのです。私たちはこれを利用して、美味しいお酒を造らせていただいております。
順を追って
洗米と浸漬について
お酒造りの第一歩は、米を洗うところからですが、ポイントはどのくらい米が水を吸ったのか「吸水率」を管理します。少ないと溶け辛く、多いと溶けやすいのですが、米の種類と精米歩合の違いで吸水速度が違います。最適の「吸水率」が有りますので浸漬の時間を管理しています。
精米歩合が高い(米を削る量が多い)程、水の吸水速度が速くなり浸漬時間の管理はシビアな要求をされます。方法は各蔵元さんで違いますし、独自の企業秘密です。
蒸し放冷
浸漬が終わった米は「こしき」に入れられ、翌日に蒸されます。この時も蒸気によって吸水しますので管理しなければいけません。長すぎると、米がベトツキその後の作業が大変になります。
蒸米は暑いまま使うわけではなく。適温に速やかに冷やす必要があります。放冷機と言う機械を使用するのですが、理屈は「扇風機で冷やす」ので気温が低い事が絶対条件です。建物自体を空調するのは地方の小さな蔵では難しいので、冬の内に1年分を造ります。
製麹
適温に冷やした蒸米(人肌以下)に、種麹を振り掛けて麹を育てます。製麹室で二日、枯らし場で1日の計3日かけて作業します。先ず一日かけて菌の繁殖を待ち、2日目から温度と湿度の調整で麹菌に酵素を造ってもらいます。
酵素は大きく分けて2種類あります。1つはアルコールのもとに成るデンプンをブドウ糖に分解してくれる酵素。あと1つはタンパク質をアミノ酸に分解してくれる酵素に分けられます。これらの酵素は分泌される温度はほぼ決まっていますので、温度で管理します。
酒母
私たちは酵母と言う微生物を買い、それで発酵を行います。最初は僅かの量ですので、いきなり本仕込みを行うことは出来ません。まず本仕込みの為に酵母を培養致します。その作業が酒母です。10日から3週間程かけて、元気な酵母を培養します。
ここで注意しなければならないのは、雑菌による汚染です。お酒はもともとアルーコルが有るので、腐敗しづらい飲料なのですが、酒母の中期までアルコールが有りません。そこで乳酸を添加して、酒母のモロミを酸性(ペーハーを4以下)状態にし、雑菌を繁殖しづらくします。
モロミ(本仕込み)
いよいよ本仕込みです。出来上がった酒母を、大きなタンクに移し替え、3回に分けて蒸米・麹・水を加えてアルコール発酵させます。三段仕込みと言います。
1日目 添え仕込み 酒母と水・麹・蒸米を投入します。
2日目 踊り この時は作業が無く、様子を観察します。
3日目 仲仕込み 水・麹・蒸米を投入。量は1日目の1.8倍
4日目 留め仕込み 水・麹・蒸米を投入。量は3日目の1.6倍
量を増やしながら仕込んでいきます。そして3週間過ぎるころに絞ります。
こうして、お酒が出来るのです。ここに記載してあるのは、2003年の冬から地元従業員とお酒の造りを始めての、今ある鳥浜酒造の造り方です。毎年、少しでも美味しいお酒を造る為に、試行錯誤しながら醸造しております。
この後は、商品の特性に合わせて、「火入れ」と言う熱殺菌をおこない、ビン貯蔵・火入れタンク貯蔵して1年分のお酒を貯蔵出荷管理いたします。
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